故人の楽天ポイント・楽天証券は相続できる?見落としがちな確認点

亡くなった家族の楽天アカウントに、楽天ポイントがたくさん残っていた——。使ってもいいのか、相続できるのか、迷う方は少なくありません。結論から言うと、楽天ポイントは相続人が引き継ぐことは基本的にできないと考えるのが一般的です。一方で、同じ楽天IDにつながる楽天銀行の預金や楽天証券の株式は、れっきとした相続財産です。ポイントとお金を分けて、何をすればいいかを整理します。
この記事のポイント
- 楽天ポイントは規約で譲渡も換金もできず、会員資格を失うと権利もなくなる。相続人への引き継ぎは基本的にできない
- 楽天銀行・楽天証券の資産は相続財産。通常の相続手続きで引き継ぐ
- 楽天カードの未払い残高は相続人が引き継ぐ債務になる
- 故人のIDでログインしてポイントを使うのは避ける
基本知識:楽天ポイントは「相続できない」と考えるのが一般的
規約でポイントの譲渡・換金はできない
楽天ポイントの利用規約には、ポイントを他の会員に譲渡したり、ほかのアカウントに移したりできないこと(第4条)、いかなる場合も換金できないこと(第10条)が定められています。さらに、会員の地位を失った場合は、保有するポイントと利用の権利を失うとされています(第13条)。楽天会員規約でも、アカウントや会員の地位を第三者に譲渡することは禁じられています(第8条第2項)。
規約の中に「会員が死亡したらポイントは失効する」と直接書いた条文は見当たりません。ただ、譲渡も換金もできず、会員本人だけが使える権利であることから、ポイントは本人に専属する権利として相続の対象にならないと考えるのが一般的です。
「ポイント」と「お金」を分けて考える
楽天IDには、ポイントのほかに、預金や株式、電子マネー、カードの契約などがつながっていることがあります。扱いはサービスによってまったく違います。
| サービス | 相続の扱い | やること |
|---|---|---|
| 楽天ポイント | 引き継ぎは基本的にできない | 残高を記録しておく。故人のIDで使わない |
| 楽天銀行 | 相続財産 | 銀行の相続窓口に連絡し、相続手続きで払い戻しを受ける |
| 楽天証券 | 相続財産 | 相続人名義の楽天証券口座へ株式・投資信託を移す |
| 楽天キャッシュ | 電子マネー。ポイントとは扱いが別 | 残高があれば、払い戻しの可否を窓口に確認する |
| 楽天Edy | カードの登録状況などで異なる | 公式の払い戻し案内を確認する |
| 楽天カード | 未払い残高は債務として相続される | 死亡を連絡して解約。残高を確認する |
| 楽天モバイル | 契約の解約・承継 | ほかの手続きの本人確認に使うことがあるので、すぐには解約しない |
※ 各サービスの扱いは規約の改定で変わることがあります。手続きの前に、それぞれの公式窓口で最新の案内を確認してください。
今すぐできる対処法
手順1:楽天IDに何がつながっているかを洗い出す
故人のIDでログインして確かめるのではなく、手元に残っているものから探します。
- メール:楽天からの「ご利用のお知らせ」「取引報告書」「ご請求金額」などの通知
- 通帳・明細:楽天カードの引き落とし、楽天銀行・楽天証券との入出金
- スマホのアプリ:楽天銀行、楽天証券(iSPEED)、楽天ペイ、楽天モバイルなど
- 郵便物:楽天カードの利用明細、楽天証券の書類など
手順2:お金に関わるものから連絡する
優先するのは、相続財産になるもの(楽天銀行・楽天証券)と、請求が続くもの(楽天カード)です。ポイントの扱いは、その後でかまいません。
- 楽天証券:相続人が資産を受け取るには、相続人名義の楽天証券口座が必要です。手続きの流れは楽天証券の公式案内で確認できます。ネット証券全般の進め方は故人のネット証券口座の相続手続きで解説しています
- 楽天銀行:相続の窓口に連絡すると、口座の取引が止まり、手続きの書類が案内されます。進め方は故人のネット銀行の相続手続きをご覧ください
- 楽天カード:死亡を連絡して解約します。カード払いにしていた公共料金やサブスクの切り替えも必要です。詳しくは亡くなった家族のクレジットカード解約手続きで解説しています
楽天カードの未払い残高に注意
リボ払いや分割払いの残高は、相続人が引き継ぐ債務になります。借入が多そうで相続放棄を考えている場合は、故人の預金から支払う前に専門家へ相談してください。支払い方によっては相続を受け入れたとみなされ、相続放棄ができなくなるおそれがあります。
手順3:ポイントは残高を記録し、故人のIDでは使わない
ポイントが残っていても、故人のIDとパスワードでログインして使うのは避けてください。規約に反するおそれがあるうえ、ほかの相続人から「勝手に使った」と受け取られる原因にもなります。残高を記録しておき、未発送の注文など気になる点があれば、楽天のカスタマーサービスに相談しましょう。
具体的なトラブル事例(一般化した事例です)
亡くなった父親の楽天アカウントに数万ポイントが残っていたため、家族が父親のIDでログインして日用品の購入に使ったという相談があります。後日、ほかのきょうだいから「相続財産を勝手に使った」と指摘され、話し合いがこじれてしまいました。ポイントは相続財産にあたらないと考えられていても、家族の受け止め方は別です。使う前に共有しておけば防げたケースです。
また、楽天市場の買い物にしか使っていないと思っていたアカウントに、楽天証券の口座がつながっていたという事例もあります。メールで届いていた取引報告書に気づくのが遅れ、遺産分割の話し合いをやり直すことになりました。
生前にできる備え
ポイントは相続できない以上、本人が元気なうちに使っておくのがいちばんの対策です。あわせて、楽天銀行や楽天証券のように「家族が気づきにくいお金」がどこにあるかを、エンディングノートなどで共有しておくと、残された家族の負担が大きく減ります。
なお、生前に家族へポイントを移す場合、家族間のポイント移行は税務上は贈与にあたるとされています。1年間に受け取った合計が110万円を超えると贈与税の申告が必要になるため、まとまった量を移すときは注意してください。
専門家に相談すべきケース
ポイントの扱いだけなら、ご家族で判断できることがほとんどです。次のような場合は、専門家に相談すると整理しやすくなります。
| こんなとき | 相談先 |
|---|---|
| 楽天銀行・楽天証券など、相続手続きが必要な口座が複数ある。戸籍集めや書類作成に手が回らない | 行政書士(戸籍の収集、遺産分割協議書の作成、デジタル資産の棚卸し) |
| 楽天カードの未払いが多く、相続放棄を考えている | 司法書士・弁護士 |
| 楽天証券の資産が大きく、相続税の申告が必要そう | 税理士 |
| ポイントや預金の使い方をめぐって、相続人の意見が対立している | 弁護士 |
見送ったあとの手続きと、これからの備え
ご家族を亡くされたあとの手続きは、ひとりで抱えるには多すぎます。いまのお困りごとと、この先の備え。どちらからでもご相談いただけます。
いま、手続きで手が止まっている方へ
スマホやネットのアカウント、解約できていない契約、相続に必要な書類。状況をうかがい、何から手をつければよいかを一緒に整理します。
※パスワードの解析やロック解除の代行は行っていません。登記・税務・相続トラブルは、提携する各専門家へおつなぎします。
残されたお母さま・お父さまのために
今回の手続きで苦労したことは、次に備えておけることでもあります。実家のこと、お金のこと、スマホの中身。親御さんがお元気なうちに、決まっていることと手つかずのことを確かめておきませんか。
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クロフネ行政書士事務所|行政書士・宅地建物取引士 深沢文敏
よくある質問(FAQ)
楽天ポイントは相続できますか?
基本的にはできないと考えるのが一般的です。楽天ポイントの規約では、ポイントの譲渡や換金ができず、会員資格を失うとポイントの権利もなくなるとされています。
故人のIDでログインして、残ったポイントを使ってもいいですか?
避けてください。規約に反するおそれがあり、ほかの相続人とのトラブルの原因にもなります。気になる点があれば、楽天のカスタマーサービスに相談しましょう。
楽天証券や楽天銀行のお金はどうなりますか?
預金や株式・投資信託は相続財産です。それぞれの相続窓口に連絡し、通常の相続手続きで引き継ぎます。楽天証券の資産を受け取るには、相続人名義の楽天証券口座が必要です。
楽天キャッシュの残高はポイントと同じ扱いですか?
楽天キャッシュは電子マネーで、ポイントとは扱いが異なります。残高がある場合は、払い戻しの可否を楽天キャッシュの窓口に確認してください。
楽天カードの未払い残高は誰が払いますか?
相続人が債務として引き継ぎます。相続放棄を考えている場合は、支払う前に司法書士や弁護士に相談してください。
まとめ
楽天ポイントは、規約で譲渡も換金もできないため、相続人が引き継ぐことは基本的にできません。故人のIDで使うことは避け、残高を記録しておきましょう。大切なのは、同じ楽天IDにつながる楽天銀行・楽天証券のお金と、楽天カードの未払いです。こちらはれっきとした相続財産・債務なので、先に手続きを進めてください。
故人のアカウントや契約の手続き全体は、故人のスマホ・アカウント手続き一覧で確認できます。

AUTHOR
深沢 文敏
家族資産コンシェルジュ|行政書士(登録番号 第14130403号)・宅地建物取引士
クロフネ行政書士事務所 代表/さいたま市大宮区
一部上場企業を退職後、行政書士として独立。法務書類の作成権限を持つ行政書士と、不動産売買を媒介できる宅地建物取引士の両資格を保有。郡山市(開成・鶴見坦エリア)に居住し、マンションを所有していた経験から、地方都市の不動産が抱える課題を現場感覚で把握している。日本経済新聞・朝日新聞・NewsPicks・TBS NEWS DIGほか50媒体超に掲載。
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