亡くなった家族のJAL・ANAマイルは相続できる?期限・必要書類・手続きの流れ【行政書士解説】

ご家族が亡くなったあと、遺品のカードや旅行の記録から「父はJALのマイルをかなり貯めていた」「母のANAのマイルはどうなるのだろう」と気づくことがあります。実は、JALもANAも、亡くなった会員のマイルを法定相続人が引き継げる仕組みを用意しています。海外の航空会社の多くは相続を認めていないため、世界的に見ると珍しい制度です。
この記事では、両社の公式案内をもとに、マイルを相続できる条件、申請の期限、必要書類、手続きの流れ、見落としやすい注意点を整理します。特にANAは期限が短いため、早めの確認が欠かせません。
この記事のポイント
- JAL・ANAとも、有効なマイルを法定相続人が引き継げる。相続できるのは1人で、分けて相続はできない
- ANAは亡くなった日から180日以内に、書類をすべてそろえて申請する必要がある
- JALに期限の明記はないが、マイルの有効期限が切れたら相続できないので早めに動く
- クレジット機能付きのJALカード・ANAカードは、先にカードの退会手続きが必要

AUTHOR
深沢 文敏
家族資産コンシェルジュ|行政書士(登録番号 第14130403号)・宅地建物取引士
クロフネ行政書士事務所 代表/さいたま市大宮区
一部上場企業を退職後、行政書士として独立。法務書類の作成権限を持つ行政書士と、不動産売買を媒介できる宅地建物取引士の両資格を保有。郡山市(開成・鶴見坦エリア)に居住し、マンションを所有していた経験から、地方都市の不動産が抱える課題を現場感覚で把握している。日本経済新聞・朝日新聞・NewsPicks・TBS NEWS DIGほか50媒体超に掲載。
→ 実家承継ワンストップサービスの詳細を見る基本知識:マイルは相続できるのか
JAL・ANAとも、法定相続人が引き継げる
JALマイレージバンク(JMB)もANAマイレージクラブ(AMC)も、会員が亡くなった場合に、マイル口座に残る有効なマイルを法定相続人が相続できるとしています。相続人がそれぞれの会員になり、所定の書類を郵送して手続きします。
ただし、これは各社の会員規約にもとづく制度です。どちらもマイルを複数の相続人で分けることはできず、1人がまとめて引き継ぎます。誰が受け取るかは、先に家族で話し合っておきましょう。
JALとANAの違い(早見表)
| JAL | ANA | |
|---|---|---|
| 申請の期限 | 公式案内に期限の記載なし(マイルの有効期限内であることが前提) | 亡くなった日から180日以内(必要書類がすべてそろった状態での申請に限る) |
| 手続きの方法 | 合意書・退会届に記入し、戸籍関係書類のコピーと郵送 | 退会届・マイル相続申請書とチェックリストに記入し、必要書類のコピー2点と郵送 |
| 戸籍関係の書類 | 戸籍謄本(全部事項証明書)または法定相続情報一覧図のコピー。相続人が故人と別の戸籍なら、相続人の戸籍謄本も | 戸籍謄本・戸籍抄本・法定相続情報一覧図のいずれかのコピー(発行から6か月以内) |
| 本人確認書類 | ― | 相続人の運転免許証、マイナンバーカード(表面のみ)、パスポートなどのコピー |
| 完了までの目安 | 書類確認後、約1週間 | 書類の郵送後、約2週間 |
| 相続後の有効期限 | マイルは手続き完了日の36か月後の月末まで。e JALポイントは12か月後の月末まで | 手続き完了後、もとのマイルの区分に応じて36か月後・12か月後・6か月後の月末まで |
| 代理申請 | ― | 受け付けていない |
※2026年10月時点の各社公式サイトの案内をもとに整理しています。「―」は公式案内に記載が見当たらなかった項目です。申請の前に、記事末尾の公式ページで最新情報を確認してください。
ANAは「180日以内に書類がそろっていること」が条件
ANAの期限は、亡くなった日から180日です。しかも、180日以内に必要な書類がすべてそろった状態で申請した場合に限り手続きできます。戸籍謄本の取り寄せに時間がかかることもあるため、ANAのマイルがありそうなら、ほかの手続きより先に動きましょう。
手順1:マイルがあるか、どこの会員かを確かめる
まずは故人がどちらの会員だったか、マイルがどれくらい残っているかを確かめます。
| 確認する場所 | 見るポイント |
|---|---|
| 財布・カードケース | JMBカード、AMCカード、JALカード、ANAカード(クレジット機能付き)。カードにお得意様番号・お客様番号が書かれている |
| スマホのアプリ | JALアプリ、ANAアプリ |
| メール・郵便 | マイル残高のお知らせ、搭乗の記録、会員誌など |
| クレジットカードの明細 | JALカード・ANAカードの年会費や利用明細 |
スマホが開かない場合は亡くなった親のスマホが開かないときの対処法も参考にしてください。会員番号が分からなくても、相続の手続きは戸籍関係の書類で進められます。
手順2:クレジット機能付きカードを先に退会する
故人がクレジット機能付きのJALカード・ANAカードを持っていた場合は、マイルの相続より先に、カード会社で退会の手続きをします。JALは、JALカードの退会前に合意書・退会届を送っても受け付けられないとしています。ANAも、クレジット機能付きカードはカード会社で退会したあとに申請書を記入するよう案内しています。
カードの手続きの進め方は、故人のクレジットカードの引き落としを止める方法で説明しています。カード会社との手続き中も、ANAの180日の期限は進んでいる点に注意してください。
手順3:マイルを受け取る相続人が会員になる
マイルを受け取る相続人がJMB・AMCの会員でない場合は、先に入会します。どちらも入会金・年会費は無料です。申請書類には相続人自身の会員番号(JALはお得意様番号、ANAはお客様番号)を必ず書きます。記入がないと受け付けてもらえない場合があります。
手順4:書類をそろえて郵送する
JALの場合
JALの公式サイトから合意書と退会届を印刷して記入し、故人が亡くなったことと相続人の続柄が分かる戸籍関係の書類のコピーを添えて、JALマイレージバンクの「マイル相続係」へ郵送します。書類の確認後、約1週間で完了します。
合意書は、法定相続人のうち1人が署名する形式です。ほかの相続人から異議が出た場合は、署名した人が対応する内容になっています。家族の合意を取ってから署名するようにしましょう。
ANAの場合
ANAの公式サイトから「退会届・マイル相続申請書」と「マイル相続手続きチェックリスト」を印刷し、次の2点のコピーと一緒に、ANAマイレージクラブ・サービスセンターの「マイル相続」係へ郵送します。
- 故人が亡くなった日と相続人の続柄が分かる書類:戸籍謄本、戸籍抄本、法定相続情報一覧図のいずれか(発行から6か月以内)
- 相続人本人を確認できる書類:運転免許証、マイナンバーカード(表面のみ)、パスポート、住民票(発行から6か月以内)など
資格確認書の記号・番号や、住民票のマイナンバーは、黒く塗りつぶして提出します。郵送後、約2週間で完了し、案内が届きます。送った書類は返却されません。
見落としやすい注意点
- マイルの有効期限が切れたら相続できない。相続の対象は、手続きが完了した時点で有効なマイルです
- 故人のマイルで発券した特典航空券は、相続後に払い戻しできない(ANA)
- JALは、有効なe JALポイントも相続の対象。JMB WAONなど電子マネーの残高がある場合は、カードを捨てる前に使い切る
- ANA Payの残高も、所定の手続きで法定相続人が相続できる(マイルとは別の手続き)
- 相続の手続きが終わったあとの相続人どうしのトラブルには、航空会社は関与しない
なお、マイルのような財産的な価値のあるものを受け取ることが、相続放棄とどう関係するかは、状況によって判断が分かれることがあります。借金などがあって相続放棄を考えている場合は、マイルの手続きの前に専門家へ相談してください。楽天ポイントなど、ほかのポイントの扱いは故人の楽天ポイントは相続できるかで説明しています。
具体的なトラブル事例(一般化した事例です)
四十九日が過ぎてから動いたら、ANAの期限に間に合わなかった
父親を亡くしたMさんは、葬儀や銀行の手続きを優先し、ANAのマイルは落ち着いてからと考えていました。戸籍謄本の取り寄せにも時間がかかり、書類がそろったときには亡くなった日から180日を過ぎていました。10万マイル近く残っていたマイルは、相続できませんでした。
兄弟で分けるつもりが、1人しか相続できなかった
母親のJALマイルを兄弟2人で分けようと考えていたNさんは、マイルは分割して相続できないと知りました。話し合いの結果、Nさんがまとめて相続し、そのマイルで兄弟それぞれの家族旅行の特典航空券を手配することで落ち着きました。
専門家に相談すべきケース
マイルの相続そのものは、ご家族だけで進められます。次のような場合は、専門家に相談すると手戻りを減らせます。
| こんなとき | 相談先 |
|---|---|
| ANAの180日の期限が迫っていて、戸籍集めが間に合うか不安 | 行政書士(戸籍の収集、法定相続情報一覧図の取得) |
| マイルのほかにもポイントやアカウントが多く、何から手をつければいいか分からない | 行政書士(デジタル遺品の棚卸し、相続手続き全体の整理) |
| 借金があり、相続放棄を検討している | 弁護士・司法書士 |
| 相続人の間で、誰が受け取るかで意見が対立している | 弁護士 |
見送ったあとの手続きと、これからの備え
ご家族を亡くされたあとの手続きは、ひとりで抱えるには多すぎます。いまのお困りごとと、この先の備え。どちらからでもご相談いただけます。
いま、手続きで手が止まっている方へ
スマホやネットのアカウント、解約できていない契約、相続に必要な書類。状況をうかがい、何から手をつければよいかを一緒に整理します。
※航空会社への代理申請は行っていません(ANAは代理申請を受け付けていません)。登記・税務・相続トラブルは、提携する各専門家へおつなぎします。
残されたお母さま・お父さまのために
今回の手続きで苦労したことは、次に備えておけることでもあります。実家のこと、お金のこと、スマホの中身。親御さんがお元気なうちに、決まっていることと手つかずのことを確かめておきませんか。
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クロフネ行政書士事務所|行政書士・宅地建物取引士 深沢文敏
よくある質問
Q. マイルは、相続人で分けて相続できますか?
A. できません。JAL・ANAとも、1人の相続人がまとめて引き継ぐ形です。誰が受け取るかを家族で話し合ってから申請しましょう。
Q. ANAの180日を過ぎてしまいました。もう相続できませんか?
A. ANAは、亡くなった日から180日以内に、必要書類がすべてそろった状態での申請に限り手続きできるとしています。期限を過ぎた場合の扱いは、ANAマイレージクラブ・サービスセンターに確認してください。
Q. JALに期限はないのですか?
A. JALの公式案内に申請期限の記載は見当たりません。ただし、相続できるのは有効期限内のマイルだけです。マイルは期限が来ると失効するため、早めに手続きしましょう。
Q. 故人の会員番号が分かりません。
A. 会員番号が分からなくても、戸籍関係の書類で手続きできます。申請書に必ず書く必要があるのは、受け取る相続人自身の会員番号です。
Q. 相続したマイルの有効期限は?
A. JALは手続き完了日の36か月後の月末まで(e JALポイントは12か月後の月末まで)、ANAは手続き完了後、もとのマイルの区分に応じて36か月後・12か月後・6か月後の月末までです。
まとめ
JAL・ANAのマイルは、法定相続人のうち1人がまとめて引き継げます。ANAは亡くなった日から180日以内に書類をそろえて申請する必要があり、JALも有効期限が切れたマイルは相続できません。クレジット機能付きカードを先に退会し、受け取る相続人が会員になってから、戸籍関係の書類と一緒に郵送しましょう。
故人のアカウントやポイント、契約の手続き全体は、故人のアカウント・デジタル遺品の手続きまとめで確認できます。
参考:各社の公式案内(2026年10月確認)
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