故人のパソコンが開かない・パスワードが分からないときは?データを確認する方法と注意点【行政書士解説】

故人のパソコンが開けない場合の相談先と注意点

亡くなったご家族のパソコンを開こうとしたら、パスワードが分からない——。相続財産の確認や、契約中のサービスを調べるために、どうしても中身を見たいというご相談は少なくありません。まず自分でできることから、専門業者に頼む場合の注意点まで、順番に整理します。

基本知識:パソコンはスマホより「開ける選択肢」が多い

パソコンのログインパスワードが分からない場合でも、スマホと違って、ハードディスク(ストレージ)を取り出して別のパソコンにつなぎ、データだけを読み出すという方法が技術的に存在します。スマホのロック解除よりも選択肢が広いのが、パソコンの特徴です。

ただし、ここで大切な前提があります。パスワードが分からなくても、相続手続き自体は進められます。パソコンの中身は「相続財産を見つける手がかり」として重要ですが、無理に開けることが目的化しないよう、まずは落ち着いて手がかりを探すことから始めましょう。

開ける前に知っておきたいこと

故人のパソコンには、故人と他の方とのやりとり(メール・メッセージなど)も含まれます。相続に必要な範囲を確認するにとどめ、関係のない私的なやりとりまで詮索することは避けましょう。ほかに相続人がいる場合は、単独で中身を操作する前に一言共有しておくと、後のトラブルを防げます。

今すぐできる対処法

①パスワードの手がかりを探す
手帳、メモ、付箋、エンディングノートなどに、パスワードの手がかりが残されていないか確認します。故人が普段使っていた他のパスワードや、家族の誕生日などが流用されていることもあります。

②むやみに何度もログインを試さない
設定によっては、一定回数の失敗でアカウントがロックされたり、Macのように連続失敗でデータ保護が強まったりする場合があります。思いつくものを数回試して開かなければ、いったん手を止めましょう。

③アカウントの種類を確認する(Windowsの場合)
Windowsのパソコンは、ログイン方法によって対処が変わります。

  • Microsoftアカウントでログインしていた場合:メールアドレスとMicrosoft側のパスワードで管理されています。故人のメールが確認できれば、Microsoftのアカウント回復の手順をたどれる可能性があります。
  • ローカルアカウントの場合:そのパソコンの中だけで完結するパスワードです。回復は難しいことが多く、④のデータ取り出しが現実的になります。

④Apple IDを確認する(Macの場合)
MacはApple IDと連携していることが多く、ディスクが暗号化(FileVault)されていると、パスワードなしでのデータ取り出しは困難です。Apple IDの情報が分かるかどうかが鍵になります。

⑤データ復旧を専門とする業者に相談する
自分での解決が難しい場合は、ハードディスクからのデータ取り出しに対応する専門業者に相談します。ログインできない状態でも、暗号化されていなければ中のデータを確認できる可能性があります。ご自身で分解・取り出しを試すと、データを損傷させるおそれがあるため避けてください。

具体的なトラブル事例(一般化した事例です)

故人が確定申告や家計簿をパソコンで管理していたため、相続財産の把握にパソコンの中身が必要だったものの、ログインパスワードが分からず対応に苦慮したというご相談があります。また、パソコン内にネット証券のブックマークが残っており、それが口座の存在に気づくきっかけになった事例もあります。パソコンは、預貯金や不動産だけでは見えてこない「デジタルの資産」を見つける手がかりになります。

専門家に相談すべきケース

「パソコンの中に相続財産に関わる情報(ネット証券・暗号資産の取引記録など)が入っている可能性がある」「パソコンが開けない前提で、相続手続き全体をどう進めればいいか分からない」といった場合は、行政書士へのご相談が有効です。当事務所は宅地建物取引士の資格も持ち、デジタル遺品を含めた相続財産全体の棚卸しをお手伝いできます。

故人のスマホが開かない場合は亡くなった親のスマホが開かないときの対処法、見つかった口座の相続手続きは故人のネット証券口座の相続もあわせてご確認ください。手続き全体の一覧は故人のアカウント・デジタル遺品の手続きまとめにあります。

なお、相続登記に関する手続きは司法書士の業務範囲であり、相続人間で意見が対立する場合の代理交渉は弁護士の業務範囲となります。当事務所は、パスワードの解析やロック解除といった技術的な作業は行っていません。必要に応じて、データ復旧業者や司法書士・弁護士と連携しながらご案内しています。

よくある質問(FAQ)

パスワードが分からないと、相続手続きは進められませんか?

進められます。相続手続きは戸籍などの書類で行うため、パソコンが開けなくても可能です。パソコンの中身は、あくまで相続財産を見つけるための手がかりです。

パソコンはスマホより開けやすいのですか?

ハードディスクを取り出して他のパソコンに接続し、データを読み出す方法が技術的に存在するため、スマホよりも選択肢が広いといえます。ただし、ディスクが暗号化されている場合は困難です。

自分でハードディスクを取り出しても大丈夫ですか?

分解や取り出しの過程でデータを損傷させるリスクがあるため、データ復旧を専門とする業者への依頼をおすすめします。

行政書士にパソコンのパスワード解析を頼めますか?

いいえ。当事務所はパスワードの解析やロック解除といった技術的な作業は行っていません。パソコンが開けない前提での、相続手続きの進め方についてはご相談いただけます。

確定申告のデータがパソコンにしかない場合はどうすればいいですか?

税務署への確認や、過去の申告書の控えを探すなど、パソコン以外からも情報を確認できる場合があります。データ復旧業者への相談とあわせて検討しましょう。

データ復旧の費用はどれくらいですか?

故障の状態や取り出すデータの量によって異なります。複数の業者に見積もりを依頼し、比較したうえで判断することをおすすめします。

まとめ

故人のパソコンが開けないときは、まずパスワードの手がかりを探し、アカウントの種類(Microsoft/ローカル/Apple ID)を確認します。自分での解決が難しければ、分解は試さず、データ復旧の専門業者に相談しましょう。パスワードが分からなくても相続手続き自体は進められるので、無理に開けることを目的にせず、相続財産の手がかりとして落ち着いて対応することが大切です。

深沢文敏・行政書士

監修者情報

深沢 文敏(ふかさわ ふみとし)

クロフネ行政書士事務所 代表|行政書士登録番号 第14130403号|埼玉県行政書士会 会員

一部上場企業を退職後、行政書士として独立。相続・終活・デジタル終活分野に精通し、行政書士と宅地建物取引士の両資格を持つ。スカイセブンモバイル大宮店・川越店との連携による「スマホよろず相談窓口」でシニア世代の支援にも力を入れている。日本経済新聞・朝日新聞・TBS NEWS DIGほか50媒体超への掲載実績、著書3冊。
▶ メディア掲載・著書実績を見る

デジタル遺品の整理や相続手続き全体について、クロフネ行政書士事務所が初回無料でご相談を承ります。

メールでのお問い合わせ・LINEでのご相談はこちらからどうぞ。

メールで問い合わせる LINEで相談する