死後事務委任契約に「デジタル遺品の整理」を含める方法

死後事務委任契約に「デジタル遺品の整理」を含める方法

「自分が亡くなった後、スマホやSNSのアカウントをどう処理するか、誰かに任せておきたい」——そのような希望に応えるのが、死後事務委任契約にデジタル遺品整理を盛り込む方法です。具体的な記載のポイントを解説します。

基本知識:死後事務委任契約とは

死後事務委任契約とは、自分が亡くなった後に必要となる各種手続き(葬儀・公共料金の解約・各種届出など)を、生前に信頼できる人や専門家に委任しておく契約です。行政書士・司法書士・弁護士のいずれも受任することができます。

民法653条により、委任契約は委任者の死亡によって原則として終了しますが、最高裁平成4年9月22日判決において「死亡によっても終了しない」旨の特約を契約書に明記することで有効性が認められています。そのため、実務上は契約書に特約条項を設けることが不可欠です。

デジタル遺品整理を盛り込む場合の具体的な記載項目

死後事務委任契約にデジタル遺品整理を含める場合、以下のような項目を契約書に明記しておくことが重要です。

①対象サービス・アカウントの特定
「LINE・Google・Instagram・FacebookなどのSNSアカウントの解約・削除申請手続き」「ネット証券口座の相続手続きに必要な書類の整理支援」「各種サブスクリプションサービスの解約手続き」など、対象を具体的に列挙しておくことで、受任者が迷わず対応できます。

②対象アカウントの情報管理方法
どのサービスに登録しているかを一覧化した「デジタル資産一覧表」を別途作成し、契約書と紐づけておく方法が実務上有効です。生前に随時更新できる形にしておくことをおすすめします。

③受任者の権限の範囲と限界の明記
受任者が行えるのは「各サービス事業者への連絡・解約申請の手続き案内」であり、アカウントへの代理ログインや技術的な作業は含まないことを明記しておくことが重要です。

④費用・精算方法の明確化
手続きに要する費用の算定方法と精算のタイミングを明確にしておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。

具体的なトラブル事例(一般化した事例です)

死後事務委任契約を締結していたものの、デジタル資産に関する記載が「スマホ・パソコンのデータ整理」という漠然とした表現にとどまっており、受任者が具体的に何をすべきか判断できなかったという相談があります。契約書の記載は、できる限り具体的にしておくことが大切です。

専門家に相談すべきケース

「おひとりさまで、死後の手続きを任せられる家族がいない」「デジタル資産の整理を含めた死後事務委任契約を一から設計したい」「既存の契約書にデジタル遺品整理の項目を追加したい」といった場合は、行政書士へのご相談が有効です。

なお、相続登記に関する手続きは司法書士の業務範囲であり、相続人間で意見が対立する場合の代理交渉は弁護士の業務範囲となります。クロフネ行政書士事務所では、必要に応じて司法書士・弁護士とも連携しながらご案内しています。

よくある質問(FAQ)

死後事務委任契約は誰に頼めばいいですか?

行政書士・司法書士・弁護士のいずれも受任できます。デジタル遺品の整理を含めた内容で設計したい場合は、デジタル終活に精通した行政書士への相談がおすすめです。

契約書に「死亡によっても終了しない」旨の特約は必ず必要ですか?

実務上は必須とされています。民法653条の原則に対する特約として明記することで、委任者が亡くなった後も契約の効力が維持されます。

デジタル資産一覧表はどのように作ればいいですか?

利用しているSNS・サブスクリプション・ネット銀行・証券口座などを一覧にまとめたものです。行政書士の支援のもとで作成し、定期的に更新しておくことをおすすめします。

受任者はアカウントにログインすることができますか?

不正アクセス禁止法や各サービスの利用規約の観点から、アカウントへの代理ログインは受任者の行為として適切ではありません。受任者が行えるのは、各事業者への連絡・解約申請の手続き案内に限られます。

費用はどれくらいかかりますか?

契約内容の範囲や対象項目によって異なります。クロフネ行政書士事務所では初回無料でご相談を承っておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。

まとめ

死後事務委任契約にデジタル遺品整理を盛り込むことで、ご家族に負担をかけることなく、生前の意思に沿った形でデジタル資産の整理を進めることができます。契約書には対象サービスや受任者の権限を具体的に記載し、デジタル資産一覧表と合わせて定期的に見直す仕組みを整えておきましょう。

深沢文敏・行政書士

監修者情報

深沢 文敏(ふかさわ ふみとし)

クロフネ行政書士事務所 代表|行政書士登録番号 第14130403号|埼玉県行政書士会 会員

一部上場企業を退職後、行政書士として独立。内容証明郵便の作成支援において10年以上のキャリアを持ち、年間200件以上、累計数千件の相談に対応。相続・終活・デジタル終活分野にも精通し、スカイセブンモバイル大宮店・川越店との連携による「スマホよろず相談窓口」でシニア世代の支援にも力を入れている。日本経済新聞・朝日新聞・TBS NEWS DIGほか50媒体超への掲載実績、著書3冊。
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