家族信託は自分で手続きできる?行政書士に頼むべきケース

家族信託は自分で手続きできる?行政書士に頼むべきケース

AUTHOR
深沢 文敏
家族資産コンシェルジュ|行政書士(登録番号 第14130403号)・宅地建物取引士
クロフネ行政書士事務所 代表/さいたま市大宮区
一部上場企業を退職後、行政書士として独立。法務書類の作成権限を持つ行政書士と、不動産売買を媒介できる宅地建物取引士の両資格を保有。郡山市(開成・鶴見坦エリア)に5年間居住し、東日本大震災を現地で経験。マンションを所有していた経験から、地方都市の不動産が抱える課題や災害への備えを現場感覚で把握している。日本経済新聞・朝日新聞・NewsPicks・TBS NEWS DIGほか50媒体超に掲載。
→ 実家承継ワンストップサービスの詳細を見る家族信託の費用を見て、「自分たちだけで手続きできないか」と考える方は少なくありません。結論から言うと、法律上、自分で信託契約書を作成すること自体は可能です。しかし、それが「おすすめできるかどうか」は別の話です。
EXPERIENCE|この記事を書いた理由
インターネットのひな形を使って自分たちで作成した信託契約書を持ち込まれ、金融機関の信託口口座開設で断られてしまったケースに、何度も立ち会ってきました。「自分でできるか」を聞かれたとき、法律上の可否だけでなく、実務上のリスクまで正直にお伝えすることが専門家の責任だと考えています。
この記事では、自分で手続きできる範囲と、専門家に依頼すべきケースを整理して解説します。
CAN YOU DO IT
結論:法律上は可能。しかし実務上のリスクが大きい
家族信託契約は、当事者間の合意によって成立する私的な契約です。士業の独占業務ではないため、家族だけで契約書を作成すること自体は法律上禁止されていません。しかし、実際には以下のようなハードルがあり、専門家の関与なしに進めるのは容易ではありません。
RISKS
自己流で進めた場合のリスク
金融機関が信託口口座の開設を断ることがある
多くの金融機関は、専門家が関与し公正証書で作成された信託契約書であることを、信託口口座開設の条件にしています。ひな形をもとに自作した契約書では、開設を断られるケースが少なくありません。
契約内容に不備があっても気づけない
信託の目的、受託者の権限範囲、財産の特定方法など、専門的な検討が必要な項目が多くあります。不備があると、後から契約の有効性が争われるリスクがあります。
家族間の不公平感を防ぐ設計が難しい
受託者の権限範囲や報告義務の設計を誤ると、後からきょうだい間のトラブルにつながることがあります。第三者の専門家が関与することで、こうした配慮を契約に反映しやすくなります。
WHEN TO HIRE A PRO
専門家に依頼すべき典型的なケース
- 信託財産に不動産が含まれる場合
- 相続人が複数いて、財産の配分や受託者の権限に配慮が必要な場合
- 親が高齢で、判断能力の確認に慎重さが求められる場合
- 信託口口座を開設する金融機関を確実に決めておきたい場合
上記のいずれかに当てはまる場合は、費用を抑えることよりも、確実に機能する契約を作ることを優先することをおすすめします。特に不動産が絡む場合、契約に不備があると数年後の売却時に問題が表面化するため、初期段階での専門家の関与が重要です。
COST-SAVING TIPS
費用を抑えたい場合にできる工夫
専門家に依頼する場合でも、事前に家族間で目的や財産の範囲を話し合い、整理しておくことで、専門家との打ち合わせ回数を減らし、結果的に費用を抑えられることがあります。また、信託財産の範囲を必要最小限に絞ることで、コンサルティング費用(財産額に応じた料率制のことが多い)を抑えられる場合もあります。
CASE
想定シチュエーション:自己流での挫折と専門家関与での成功
※ プライバシー保護のため、典型的なご相談パターンを再構成した想定事例です。特定の個人を表すものではありません。
宇都宮市の実家を持つご家族。費用を抑えるため、インターネットのひな形をもとに自分たちで信託契約書を作成。しかし信託口口座の開設を金融機関に断られ、結局専門家に契約書の見直しを依頼することに。二度手間になった分、当初想定していたよりも時間と費用がかかる結果となりました。
FAQ
よくある質問
公正証書にしなくても家族信託は成立しますか?
私文書のままでも契約自体は成立し得ますが、多くの金融機関が信託口口座の開設条件として公正証書での作成を求めています。実務上は公正証書化が事実上必須と考えておくのが安全です。
自分で作った契約書を専門家にチェックしてもらうことはできますか?
対応している専門家もありますが、ゼロから設計する場合に比べて、既存の契約書の問題点を洗い出す作業がかえって手間になることもあります。契約前の段階から相談することをおすすめします。
SUMMARY
まとめ
✅ 家族信託契約は法律上、自分たちで作成すること自体は可能
✅ 自己流の契約書は、金融機関に信託口口座の開設を断られるリスクがある
✅ 不動産が絡む、相続人が複数いるなどの場合は専門家への依頼を強くおすすめ
✅ 費用を抑えたい場合は、事前準備を整えて打ち合わせ回数を減らす工夫が有効
※ 家族信託の契約行為自体は司法書士・弁護士が行います。当事務所は家族信託の設計・契約書案の作成・公証役場との調整・不動産売却を担当し、必要に応じて提携司法書士と連携します。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的判断を保証するものではありません。

